冠雪が美しい岩手山の麓で10.5ha の水田を管理している、岩手県八幡平市の工藤嘉充さん。2021年から農匠技術開発プラットフォーム構築プロジェクトに参加し、農匠自動給水機のモニターをしてくださっています。設置が大変だったので、高さ調節用の専用台を自作するなど、驚きの創意工夫を教えてくださいました。
10.5ha, 75筆 の水管理
工藤さんが活動をしている八幡平市の田頭地域は、最後に圃場整備が実施されたのが昭和40年代と古く、圃場整備が遅れている地域です。しかし、岩手山にはぐくまれた豊富で良質なかんがい用水に恵まれ、多収で品質の良いお米の産地として知られています。
工藤さんの管理圃場は10.5ha, 75筆! 小区画の圃場が多く分散しているため、水管理に時間がかかることが悩みでした。
1台目は設置を断念…
岩手県農業研究センターの紹介で「農匠自動給水機のモニター募集」を知った工藤さん。
水持ちが悪く、入水口が道路から離れている圃場を優先に、設置を検討してくださいました。
しかし、最初の設置は見事に失敗。用水路と圃場の高低差が大きかったため、給水機を高く設置する必要があったのですが、高さ調節が難航。水量も多かったため、止水することができませんでした。
高さ調節の専用台を自作
これでは5台も設置してられんと憤った工藤さん。持ち前の溶接技術を活かして、なんと、高さ調節用の台を自作してしまいました。給水機がすっぽり入るように4本のスチール棒を溶接して支柱を作成。高さ調節は、事前に用水路の高さに合わせて塩ビ管4個をカットして支柱に通し、木板の上に給水機を載せて完成。給水機は重さ11kgなのですが、スチール棒で強固な台を作ることができました。
専用台で設置は5分
いざ専用台を持って圃場で設置してみると… 台を田面にさして固定し、上から給水機を4本の支柱に差し込んで、ホースを挿入して設置完了。一人でも5分程度で設置できたそうです。凄い!
さらに便利に…
給水機5台を設置し終えて、2021年は大きな問題もなく動作しているとのことでした。水見の時間が20分ほど削減でき、農匠自動給水機が水管理の省力化に役立っていると感じているご様子です。
今期はポリエステル製の送水用ホースを採用したのですが、来期は自立形状を保ちつつ、柔軟性のあるサクションホースを検討するなど、更なる利便性の向上を図っています。
冬には岩手山で山スキーを堪能する工藤さん。冬に仕事をしたくないから、米農家をしているそうです。八幡平を愛し、農業を通してこの地を守るのだという意気込みを感じます。そんな工藤さんのお米づくりを、農匠自動給水機がお手伝いできると嬉しいです。これからもこの地でお米づくりが続けられますように…