秋田県にかほ市で兼業農家を営む、斎藤徹さん。会社員と米農家を「楽しんで」両立して、16年になります。日ごろから好奇心と探求心を持って、色々なことに取り組まれているせいでしょうか、とっさの機転で手近なものを上手に使って、農匠自動給水機を活用してくださっています。
斎藤さんがお米づくりをしている秋田県にかほ市は、山形県との県境に位置しています。鳥海山を源として日本海にそそぐ白雪川の流域に広がる、山から海が直結したような美しい街です。斎藤さんはここで兼業農家として、3ヶ所で1.5ha 15筆の水田を管理されています。2021年に農匠技術開発プラットフォーム構築プロジェクトに参加し、農匠自動給水機6台を導入してくださいました。
設置の工夫1 用水路に水口栓を取り付け
農匠自動給水機は、用水路から出る給水管にホースを接続して使用します。開水路で給水管がない圃場の場合、どうしたらよいのでしょう? 斎藤さんは、用水路の止水板を写真のように水口栓のゲートに変更。水口栓に塩ビ管を接続して延伸し、ホースをつなぐことに成功しました。
設置の工夫2 温水チューブの利用
農匠自動給水機を利用する際は、給水管の口径に合わせてPVC製のホースを利用するのが基本です。ところが、斎藤さんは「とりあえずつけてみよう!」と思って、ご自宅にあったφ75mmの温水チューブを接続してみたそうです。結果は? 給水がゆっくりで、除草剤の効果が落ちることなく給水できるというメリットあったそうです。こちらの温水チューブ、厚さ0.5mmと薄いものですが、お手元にあったら試してみるのも良さそうです。
設置の工夫3 水位センサーの保護
給水機を使い始めてしばらくすると、水位センサーに藻が付着して給水できないことがあったそうです。そこですぐに、プラスチックの植木鉢の底をくりぬいて、センサー周りに波よけとして設置し、センサーを保護しました。
また、給水機の放水口下の田面が掘れてしまったので、破損した苗箱を敷いて、割りばしで適当に固定して地面の保護材にしたところ、水流を弱めてゴミもキャッチできるという利点があったそうです。とっさの工夫が素晴らしい!
百姓は難儀してやるもんじゃない!
以前は給水と止水で2回の水見に行っていたそうですが、給水機の導入水田では、動作確認のみの1回で済むようになり、見回りが楽になったそうです。また、給水機を設置した水田では稲の分けつがよかったなど、適切な水管理が稲の生育向上につながることを実感されています。
斎藤さんのポリシーは、”これからの百姓は難儀してやるものじゃない”
楽しんで作業を行うために、様々な技術・機械を精力的に導入しているのに加えて、独自の観点でさらに便利に使っていること、活用方法を常に模索していることに敬服してしまいます。
2021年6月には、秋田県大潟村でオリンピック/パラリンピックの聖火ランナーを務めるなど、地域の「顔」としてチャレンジを続ける斎藤さん。これからどのような取り組みを見せてくれるのか、引き続き楽しみです!